「今年度の園内研修、テーマをどうしよう」「毎年似たような内容になってしまい、職員の参加意欲が上がらない」——研修担当になって、テーマ選びに頭を悩ませている保育者の方も多いのではないでしょうか。
園内研修は、園の課題を職員みんなで共有し、日々の保育をよりよくしていくための大切な学び合いの場です。テーマの選び方と進め方のポイントを押さえることで、職員が主体的に参加でき、保育の現場に生かせる研修になります。
この記事では、園内研修の目的、テーマの決め方、カテゴリ別のテーマ例一覧、おすすめのテーマと進め方の具体例、研修の形式、そして研修を充実させるためのコツまで、順番にお伝えします。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 園内研修のテーマの決め方は? | 園の課題や職員の悩みから選ぶ | 園全体が抱える課題や、職員アンケートで集めた日々の悩みをもとにテーマを決めましょう。職員の経験年数や年間計画とのバランスも考えることが大切です。 |
| どんなテーマがある? | 保育の質、環境構成、安全、保護者支援など | 子ども理解や遊びの充実、保育室の環境構成、安全管理、保護者支援、職員のチームワーク、不適切保育の防止など、さまざまなテーマが考えられます。 |
| 研修を充実させるコツは? | 発言しやすい雰囲気づくりと研修後の実践 | 経験年数に関係なく意見を出し合える雰囲気をつくり、全員が参加できる形式を工夫しましょう。研修で決めたことを保育で実践し、振り返ることが大切です。 |
この記事でわかること
- 園内研修の意味と目的
- 園の課題に合った研修テーマの決め方
- カテゴリ別の園内研修テーマ例一覧
- 「子どもが自分で片づけられる環境づくり」をテーマにした研修の進め方
- 園内研修の形式と、充実させるための進め方のコツ
園内研修とは?目的と大切さ
まずは、園内研修とはどのようなものか、なぜ大切なのかを確認しておきましょう。
園内研修とは
園内研修とは、保育園や幼稚園、認定こども園などで、職員が園内で行う研修のことです。外部の研修に参加する「園外研修」に対して、自分たちの園の保育や課題をテーマに、職員同士で学び合うのが特徴です。
外部講師を招いて講義を受ける形もあれば、職員だけで事例を持ち寄って話し合う形もあり、進め方は園によってさまざまです。月に1回など定期的に行う園もあれば、テーマごとに数回に分けて行う園もあります。
園内研修の目的
園内研修の主な目的は、次のようなものです。
- 保育の質を高め、子どもの育ちをよりよく支える
- 園の課題や保育の方針について、職員の共通理解を深める
- 職員一人ひとりの専門性やスキルを高める
- 職員同士のコミュニケーションを深め、チームワークを育てる
日々の保育を職員みんなで振り返り、「どうすればもっとよくなるか」を考える時間が、園内研修の大きな価値です。
保育所保育指針でも重視されている
練馬区が公開している保育所保育指針(第5章 職員の資質向上)の資料では、保育所保育指針の中で、保育所全体としての保育の質の向上を図るためには、日常的に職員同士が主体的に学び合う姿勢と環境が重要であり、職場内での研修の充実が図られなければならないとされていることが紹介されています。
また、保育の課題や職員のキャリアパスなども見据えて、体系的な研修計画を作成することも求められています。園内研修は、園の保育の質を支える欠かせない取り組みといえるでしょう。
園内研修と園外研修の違い
園外研修は、自治体や団体が開く研修に参加して、新しい知識や他の園の取り組みを学ぶのに向いています。一方、園内研修は、自分たちの園の子どもや保育の課題に合わせて、職員みんなで具体的に話し合えるのが強みです。
園外研修で学んだことを園内研修で共有し、自分たちの保育にどう生かすかを話し合うと、学びがより深まります。
園内研修のテーマの決め方
園内研修を意味のあるものにするためには、テーマ選びがとても大切です。テーマを決めるときのポイントを紹介します。
園全体の課題から考える
テーマを決めるときは、まず「今、園として取り組むべき課題は何か」を考えましょう。保育の自己評価や第三者評価の結果、保護者アンケート、日々の保育の中で気になっていることなどが、テーマを考えるヒントになります。
園の課題に直結したテーマは、職員にとっても「自分たちのための研修」と感じられ、主体的な参加につながります。園長や主任だけで決めるのではなく、職員の意見を聞きながら決めることも大切です。
職員アンケートで悩みを集める
職員一人ひとりが日々どんなことに悩んでいるかを知るために、事前にアンケートをとるのもおすすめです。「子どもへの声かけに迷う」「保護者対応に不安がある」「保育室の環境を見直したい」など、現場の声からテーマを選ぶと、研修への関心が高まります。
無記名のアンケートにすると、普段は言いにくい本音も集まりやすくなります。「学びたいこと」だけでなく「困っていること」も聞くと、園の課題がより具体的に見えてきます。
職員の経験年数や構成を考える
若手職員が多い園では、保護者対応や保育の基本的な技術、ベテラン職員が多い園では、保育の振り返りや新しい保育のあり方など、職員の構成によって求められるテーマは変わります。
経験の異なる職員が一緒に学ぶことで、若手は先輩の知恵を学び、ベテランは新しい視点に気づくといった相乗効果も期待できます。
テーマは具体的にしぼる
「保育の質を高める」「保護者対応」といった大きなテーマのままだと、話し合いが抽象的になり、実践に結びつきにくくなります。「片づけの時間の声かけを見直す」「降園時の保護者への伝え方を考える」のように、具体的な場面にしぼると、話し合いが深まり、すぐに保育に生かせます。
年間計画の中でバランスよく選ぶ
園内研修は、1年間の研修計画の中でテーマのバランスを考えて配置することが大切です。年度初めはチームづくり、夏前は水遊びや熱中症などの安全、秋は行事の振り返り、年度末は1年間の保育の振り返りなど、時期に合わせてテーマを選ぶと、実践に生かしやすくなります。
【カテゴリ別】園内研修のテーマ例一覧
ここからは、園内研修で取り上げやすいテーマを、カテゴリ別に紹介します。園の課題や職員の関心に合わせて、組み合わせて活用してください。
保育の質・子ども理解
- 子どもの発達理解と一人ひとりに合わせた関わり方
- 遊びを通した学びと主体的な保育
- 子どもへの言葉かけ・声かけの見直し
- 保育記録やドキュメンテーションの書き方・活用
- 絵本の読み聞かせや手遊びの共有
日々の保育実践を振り返り、子どもの姿を職員みんなで読み解くテーマです。同じ場面でも、職員によって子どもの見え方が違うことに気づけるのも、このテーマの魅力です。
環境構成・保育室づくり
- 子どもが自分で遊びを選べるコーナーの配置
- 子どもが自分で片づけられる収納・環境づくり
- おもちゃや教材の選び方・量の見直し
- 基本的生活習慣を支える保育室の動線
- 季節や発達に合わせた環境の再構成
保育室の環境は、子どもの主体的な活動や生活習慣の育ちに大きく影響します。写真を使って、保育室を職員みんなで見直すのも効果的です。子どもの目線の高さにしゃがんで保育室を見渡してみると、大人の目線では気づかなかった使いにくさが見えてきます。
安全・保健・食育
- ヒヤリハット事例の共有と事故防止
- 午睡中の安全確認
- 食物アレルギー対応と誤食防止
- 感染症対策・嘔吐処理の方法
- 防災・防犯訓練の振り返り
子どもの命と健康を守るために、定期的に確認しておきたいテーマです。実際に体を動かして練習する形式がおすすめです。新しく入った職員がいる時期には、特に優先して取り上げましょう。
保護者支援
- 保護者との信頼関係づくりと送迎時のコミュニケーション
- 連絡帳やおたよりの書き方
- 子育ての悩み相談への対応
- 家庭での生活習慣や片づけについての助言の仕方
保護者の子育ての悩みに寄り添うことも、園の大切な役割です。保護者が抱えやすい悩みについて理解を深めるには、「子育てのストレスがつらいあなたへ|原因と今日からできる解消法を解説」のような、保護者目線の情報も参考になります。
職員のチームワーク・働き方
- 報告・連絡・相談の基本と職員間の情報共有
- 発言しやすい職場の雰囲気づくり
- 業務の見直しと効率化
- 職員室や備品の整理整頓
- ストレスとの向き合い方
職員同士の関係性や働きやすさは、保育の質に直結します。職員が安心して働ける環境をつくるためのテーマです。業務の見直しを行う場合は、「やめてもいい業務」「簡単にできる業務」を職員みんなで出し合うと、負担の軽減につながります。
人権擁護・不適切保育の防止
- 子どもの人権を尊重した関わり方
- 日々の保育の振り返りとセルフチェック
- 「気になる関わり」を職員同士で伝え合う方法
子どもの人権を守るために、すべての職員が定期的に振り返っておきたいテーマです。責め合う場ではなく、より良い関わりを一緒に考える場として進めることが大切です。チェックリストを使って一人ひとりが自分の関わりを振り返る時間を設けるのもおすすめです。
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おすすめテーマ:子どもが自分で片づけられる環境づくり
テーマ例の中から、日々の保育にすぐに生かしやすい「子どもが自分で片づけられる環境づくり」を取り上げ、研修の進め方の例を紹介します。
なぜこのテーマがおすすめなのか
「片づけの時間になると、なかなか片づけが進まない」「保育者が片づけをほとんどしている」といった悩みは、多くの園で共通しています。片づけは毎日の保育の中で繰り返される場面なので、研修で話し合ったことをすぐに実践し、効果を確かめやすいのが特徴です。
また、子どもが自分で片づけられる環境は、自分のことは自分でするという基本的生活習慣や、自分で考えて行動する力を育てることにもつながります。保育者が片づけに追われる時間が減れば、そのぶん子どもと向き合う時間も増えます。
研修の進め方の例
次のような流れで進めると、職員全員が参加しやすくなります。
- 事前準備:各クラスの保育室や収納の写真を撮っておく
- 共有:写真を見ながら、片づけの場面で困っていることを出し合う
- 話し合い:子どもの目線で、片づけにくい原因と工夫できることを考える
- 実践:決めた工夫を各クラスで1〜2週間試してみる
- 振り返り:子どもの姿の変化を持ち寄り、うまくいったことを共有する
写真を使うことで、普段は見えにくい他のクラスの工夫を知ることができ、新しいアイデアが生まれやすくなります。実践後に同じ場所をもう一度撮影して比べると、変化がひと目でわかり、職員のやる気にもつながります。
話し合いの視点
話し合いでは、次のような視点で保育室を見直してみましょう。
- おもちゃの量は、子どもが管理できる量になっているか
- おもちゃの定位置が決まっていて、子どもにわかりやすく示されているか
- 子どもの手が届く高さで、ワンアクションで戻せる収納になっているか
- 写真やイラストのラベルなど、戻す場所がひと目でわかる工夫があるか
子どもの年齢に応じた片づけの考え方は、「片づけは何歳から?子どもと一緒に部屋を整理する方法・習慣」や、「子どもの片づけ習慣の身につけ方|親もイライラしない整理方法と声かけ」も参考になります。
片づけの場面での声かけも見直す
環境づくりとあわせて、片づけの場面での保育者の声かけを振り返るのもおすすめです。「早く片づけて」「まだ片づけていないの」といった声かけが多くなっていないか、「どこに戻すんだったかな?」「一緒にやろうか」など、子どもが自分から動きたくなる声かけになっているかを話し合ってみましょう。
子どもの片づけへの意欲を遠ざけてしまう声かけについては、「親が言ってはいけない言葉とは?片づけ習慣を遠ざけるNG声かけと正しい伝え方」も参考になります。
園内研修の主な形式
園内研修には、さまざまな形式があります。テーマや目的に合わせて、適した形式を選びましょう。
講義形式
外部講師を招いたり、専門知識を持つ職員が講師になったりして、知識を学ぶ形式です。アレルギー対応や感染症対策など、正確な知識が必要なテーマに向いています。
講義の最後に質疑応答や意見交換の時間を設けると、学んだことを自分たちの保育に結びつけやすくなります。
グループワーク・事例検討
少人数のグループに分かれて、具体的な事例について話し合う形式です。子どもへの関わり方や保護者対応など、正解が一つではないテーマに向いています。
少人数なので、普段は発言しにくい職員も意見を出しやすいのがメリットです。グループごとに話し合った内容を最後に全体で発表し合うと、園全体で考えを共有できます。
公開保育・保育観察
職員同士でお互いの保育を見学し合い、気づいたことを話し合う形式です。他のクラスの保育を見ることで、自分の保育を客観的に振り返るきっかけになります。見学する視点をあらかじめ決めておくと、話し合いがより具体的になります。
ロールプレイ
保護者対応や子どもへの声かけなど、実際の場面を想定して、役になりきって練習する形式です。頭でわかっていても、実際に言葉にしてみると難しいことに気づけます。
演じたあとに、どんな気持ちになったかを話し合うと、相手の立場に立って考える力も育ちます。
写真や動画を使った振り返り
保育中の子どもの姿や保育室の環境を写真や動画に撮り、それを見ながら話し合う形式です。具体的な場面をもとに話せるため、経験年数に関係なく意見を出し合いやすくなります。
写真を使う場合は、園のルールに沿って、子どものプライバシーに十分配慮しましょう。研修後は、写真の保存や削除の方法も確認しておくと安心です。
園内研修を充実させる進め方のコツ
同じテーマでも、進め方によって研修の充実度は大きく変わります。園内研修をより実りあるものにするためのコツを紹介します。
誰もが発言しやすい雰囲気をつくる
園内研修で一番大切なのは、経験年数や立場に関係なく、誰もが安心して意見を言える雰囲気です。若手職員の意見を否定せずに受け止め、「その視点はいいね」と認め合うことを意識しましょう。
研修の最初に、「どんな意見も歓迎」「人の意見を否定しない」といったルールを確認しておくのもおすすめです。進行役を若手職員に任せてみると、新しい視点が加わり、研修の雰囲気も変わります。
時間を区切って負担を減らす
忙しい保育の合間に行う園内研修は、長時間にならないよう、時間を区切って進めることが大切です。1回あたりの時間を短くし、回数を分けて行う方法もあります。
事前に資料を配ったり、話し合う内容を伝えておいたりすると、限られた時間でも内容の濃い研修になります。子どもの午睡中など、比較的集まりやすい時間帯を活用する園もあります。
全員が参加できる工夫をする
シフト勤務の多い園では、全員が同じ時間に集まるのが難しいこともあります。付箋に意見を書いて貼り出す、話し合いの記録を共有するなど、参加できなかった職員も研修の内容を知り、意見を出せる工夫をしましょう。
研修後に実践し、振り返る
園内研修は、話し合って終わりではありません。研修で決めたことを実際の保育で試し、一定期間後に振り返ることで、初めて保育の質の向上につながります。
「次の研修までに各クラスで1つ試してみる」など、具体的な行動目標を決めておくと、実践に移しやすくなります。うまくいかなかったことも、次の工夫につながる大切な学びとして共有しましょう。
研修の記録を残し、次につなげる
研修で話し合った内容や決めたことは、記録に残して職員全員がいつでも見られるようにしておきましょう。次年度の研修計画を立てるときにも、これまでの記録が役立ちます。
研修の最後に、参加者が一言ずつ感想を書く時間をつくると、それぞれの学びを振り返るきっかけにもなります。
職員室や備品の整理も研修テーマに
園内研修のテーマとして意外と見落とされがちなのが、職員室や備品庫の整理整頓です。
書類や備品の整理で業務を効率化する
書類や教材、行事の備品などが整理されていないと、探し物に時間がとられ、保育の準備や子どもと向き合う時間が減ってしまいます。職員みんなで書類や備品の置き場所を見直し、誰が見てもわかるように整えることで、業務の効率化につながります。
職員室のデスク周りを整えるコツは、「オフィスデスクの整理術|仕事が捗るデスク周りの片づけ方と散らからない仕組みづくり」、棚を使いやすく整えるコツは、「棚の片づけ方と収納のコツ|スッキリ整う手順と散らからない仕組みづくり」で紹介しています。
「整理→収納→片づけ」の順番を共有する
備品を整えるときは、まず使っていないモノを手放し(整理)、次に置き場所を決め(収納)、使ったら元に戻す(片づけ)という順番を職員全員で共有することが大切です。
この考え方は、保育室の環境づくりにもそのまま生かせます。整理と収納の正しい順番については、「片づけと収納の基本|整理→収納→片づけの正しい順番とコツをプロが解説」で詳しく紹介しています。
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まとめ
園内研修は、職員同士が主体的に学び合い、園全体の保育の質を高めていくための大切な場です。テーマを決めるときは、園全体の課題や職員アンケートで集めた悩み、職員の経験年数、年間計画とのバランスを考えましょう。
テーマには、保育の質・子ども理解、環境構成、安全・保健・食育、保護者支援、チームワーク・働き方、人権擁護など、さまざまなものがあります。中でも「子どもが自分で片づけられる環境づくり」は、写真を使って話し合い、すぐに実践して効果を確かめやすいおすすめのテーマです。
そして、誰もが発言しやすい雰囲気をつくり、時間を区切って全員が参加できる工夫をしながら、研修後の実践と振り返りまでを一つの流れとして進めましょう。職員みんなで学び合う園内研修が、子どもたちの毎日をより豊かにしていきます。
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