「園内研修のアンケートで『学びたいこと』を聞かれたけれど、何を書けばいいかわからない」「せっかくの研修なら、明日の保育に役立つことを学びたい」——保育の現場で働く中で、こんなふうに感じたことはありませんか。
園内研修は、自分たちの園の子どもや保育に合わせて、職員同士で学び合える貴重な機会です。自分が本当に学びたいことを見つけて伝えられれば、研修はぐっと実りあるものになります。
この記事では、保育士が園内研修で学びたいことの傾向、分野別・経験年数別のテーマ例、学びたいことの見つけ方と伝え方、そして研修担当者が保育士の「学びたい」を研修に生かすコツまで、順番にお伝えします。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 保育士が学びたいことは? | 子どもとの関わり、保護者対応、安全など | 子どもへの声かけや気になる子への関わり方、保護者対応、事故防止など、日々の保育ですぐに役立つテーマへの関心が高い傾向があります。 |
| 学びたいことの見つけ方は? | 日々の困りごとを具体的な場面でメモする | 「この場面でどう声をかければよかったか」など、保育の中で迷ったことや困ったことを具体的に書き留めておくと、学びたいことが見えてきます。 |
| 研修に生かすには? | アンケートで声を集め、実践と振り返りまで行う | 研修担当者はアンケートなどで職員の「学びたい」を集め、テーマを決めます。研修後に保育で実践し、振り返るところまで行うことが大切です。 |
この記事でわかること
- 保育士が園内研修で学びたいことの傾向
- 分野別・経験年数別の「学びたいこと」の例
- 自分が学びたいことを見つける方法
- 学びたいことを研修担当者に伝えるコツ
- 研修担当者が保育士の「学びたい」を研修に生かすポイント
保育士が園内研修で学びたいことの傾向
まずは、保育士が園内研修でどのようなことを学びたいと感じているのか、その傾向を見てみましょう。
明日の保育ですぐに使えること
保育士が研修に求めることとして多いのが、「明日の保育でどう動けばいいか」がわかる、実践的な内容です。理論も大切ですが、声かけの具体例や、遊びのアイデアなど、すぐに試せることへの関心が高い傾向があります。学んだことをその日のうちに試せると、研修の手応えも感じやすくなります。
日々の困りごとに直結すること
「この子にどう関わればいいかわからない」「保護者にどう伝えればいいか迷う」など、日々の保育の中で感じている困りごとを解決できるテーマも人気です。
自分の悩みとつながる研修は、参加する意欲も高まり、学んだことを実践に生かしやすくなります。同じ悩みを抱える職員と一緒に考えることで、一人で抱え込んでいた気持ちが軽くなることもあります。
仲間と話し合って深めたいこと
講義を聞くだけでなく、同じ園の仲間と意見を出し合いながら学びたいという声も多くあります。ほかのクラスの工夫を知ったり、自分の保育を客観的に見直したりできるのは、園内研修ならではのよさです。経験年数の違う職員同士で話すことで、新しい気づきが生まれることもあります。
学びたいことが変化している背景
共働き家庭の増加や子育ての多様化、安全への意識の高まりなど、保育を取り巻く環境は年々変化しています。保護者の悩みやニーズも多様になり、保育士に求められる知識や対応の幅も広がっています。
こうした変化の中で、「これまでのやり方でいいのか」を見直し、新しい知識を学びたいと感じる保育士が増えているのです。保育士不足で若手が早くから担任を任される園も多く、基本を学び直したいという声も聞かれます。
【分野別】保育士が園内研修で学びたいこと
ここからは、保育士が園内研修で学びたいことを分野別に紹介します。自分が関心のあるテーマを探すヒントにしてください。
子どもとの関わり方・声かけ
子どもの気持ちに寄り添った声かけや、見守りと援助のバランス、イヤイヤ期やかみつきへの対応など、子どもとの日々の関わり方は、多くの保育士が学びたいと感じているテーマです。
「つい言ってしまいがちな言葉」を振り返り、子どもが自分から動きたくなる伝え方を考えるのもよいでしょう。ロールプレイで実際に言葉にしてみると、伝え方の違いを実感できます。子どもの意欲を遠ざけてしまう声かけについては、「親が言ってはいけない言葉とは?片づけ習慣を遠ざけるNG声かけと正しい伝え方」も参考になります。
気になる子・個別の配慮が必要な子への関わり
集団生活の中で、一人ひとりの発達や特性に合わせた関わり方を学びたいという声も多くあります。クラス全体を見ながら、個別の配慮が必要な子どもをどう支えるかは、経験年数にかかわらず多くの保育士が悩むところです。
事例を持ち寄って職員みんなで考えることで、さまざまな視点から関わり方のヒントが得られます。必要に応じて、地域の専門機関と連携する方法を学ぶことも大切です。
保護者対応・子育て支援
保護者との信頼関係のつくり方、相談や要望を受けたときの対応、連絡帳や送迎時の伝え方なども、保育士が学びたいテーマの上位に挙がりやすい分野です。
保護者の気持ちを理解するためには、子育て中の保護者が抱えやすい悩みを知ることも役立ちます。「子育てのストレスがつらいあなたへ|原因と今日からできる解消法を解説」のような、保護者目線の情報も参考にしてみてください。
事故防止・安全管理
子どもの命を預かる保育士にとって、ヒヤリハットの共有、午睡中の安全確認、誤嚥やアレルギーへの対応、心肺蘇生法などは、繰り返し学んでおきたいテーマです。
実際に体を動かして練習する形式で行うと、いざというときに落ち着いて行動できるようになります。防災訓練や不審者対応の振り返りも、定期的に取り上げたいテーマです。
遊び・製作・リトミックの実践
手遊びや運動遊び、季節の製作、リトミックなど、すぐに保育に取り入れられる遊びのアイデアも人気です。ほかの職員が得意な遊びを教え合う研修は、新人からベテランまで楽しく参加できます。実際に体を動かしながら学ぶと、研修の雰囲気も明るくなります。
保育室の環境構成と子どもの片づけ
子どもが自分で遊びを選べる環境や、自分で片づけられる収納の工夫も、学びたいテーマの一つです。おもちゃの量や置き場所、ラベルの工夫などを職員みんなで見直すと、子どもの主体的な姿が引き出され、保育者の負担も軽くなります。保育室の写真を見ながら話し合うと、具体的な工夫が見つかりやすくなります。
子どもが自分で片づけられるようになる関わり方は、「子どもの片づけ習慣の身につけ方|親もイライラしない整理方法と声かけ」や、「片づけは何歳から?子どもと一緒に部屋を整理する方法・習慣」も参考になります。
記録・書類業務の効率化
保育記録や指導計画、おたよりなどの書類業務に追われ、子どもと向き合う時間が足りないと感じている保育士も少なくありません。記録の書き方のコツや、書類や備品の整理による業務の効率化も、学びたいテーマとして挙がります。
職員室のデスク周りを整えるコツは、「オフィスデスクの整理術|仕事が捗るデスク周りの片づけ方と散らからない仕組みづくり」で紹介しています。
食育・アレルギー対応
食事の場面での声かけや、偏食への関わり方、食物アレルギーへの対応なども、保育士が学びたいテーマの一つです。調理担当の職員と一緒に学ぶことで、園全体で同じ対応ができるようになります。誤食を防ぐための確認の流れを、実際の場面を想定して練習しておくことも大切です。
乳児保育・絵本の読み聞かせ
0〜2歳児の応答的な関わり方や、発達に合わせた遊びや環境は、乳児クラスを担当する保育士にとって大切な学びです。また、年齢に合った絵本の選び方や、読み聞かせのコツを学びたいという声も、新人からベテランまで多く聞かれます。
不適切保育の防止・子どもの人権
自分の言動が子どもの人権を尊重したものになっているかを振り返り、より良い関わり方を考えたいというニーズも高まっています。チェックリストを使ったセルフチェックや、職員同士で気になる関わりを伝え合う方法を学ぶ研修が考えられます。責め合うのではなく、一緒によりよい保育を考える場にすることが大切です。
職員間のコミュニケーション・チームワーク
報告・連絡・相談の仕方や、意見を言いやすい職場の雰囲気づくりも、多くの保育士が関心を持つテーマです。保育はチームで行うものだからこそ、職員同士の関係性は保育の質に大きく影響します。保育観の違いをどう話し合うかを学ぶのも、チームワークを深めるきっかけになります。
メンタルヘルス・セルフケア
責任の重い仕事だからこそ、ストレスとの付き合い方や、心と体を整えるセルフケアを学びたいという声もあります。保育士自身が心にゆとりを持てることが、子どもへの穏やかな関わりにもつながります。仕事と家庭の両立について、職員同士で工夫を話し合う時間も励みになります。
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【経験年数別】学びたいことの例
保育士が学びたいことは、経験年数や立場によっても変わります。自分の今の立場に合ったテーマを考えるヒントにしてください。
新人保育士
新人保育士は、保育の基本的な流れや、子どもへの声かけ、保護者とのあいさつや連絡帳の書き方など、毎日の業務に直結することを学びたいと感じることが多いでしょう。
先輩保育士の保育を見学したり、手遊びや絵本の読み聞かせを教えてもらったりする研修は、新人にとって心強い学びの場になります。「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮せず、わからないことを質問できる場があると、安心して働けるようになります。
中堅保育士
経験を積んだ中堅保育士は、自分の保育を振り返って質を高めることや、気になる子への関わり方、後輩への伝え方などに関心が向きやすくなります。
事例検討やグループワークで、自分の経験を言葉にして共有することも、中堅保育士にとって大切な学びになります。研修の進行役を任されることで、新たな視点や力が身につくこともあります。
リーダー・主任保育士
リーダーや主任の立場になると、職員の育成や会議の進め方、チームづくり、園全体の課題の整理など、組織に関わるテーマを学びたいと感じることが増えていきます。
若手職員が意見を言いやすい雰囲気をどうつくるかも、リーダーにとって大きなテーマです。業務の見直しや役割分担の工夫など、職員が働きやすい環境づくりを学ぶことも、園全体の保育の質を高めることにつながります。
パート・短時間勤務の保育士
パートや短時間勤務の保育士は、研修に参加する時間が限られていることも多く、短時間で要点がわかる学びを求める傾向があります。担当するクラスや時間帯の業務に合わせた、実践的な内容が役立ちます。
研修に参加できなかった場合にも内容がわかるよう、資料や記録を共有してもらえると安心です。短い時間でも参加できる形式を提案してみるのもよいでしょう。
自分が学びたいことを見つける方法
「学びたいことを聞かれても、すぐに思いつかない」という方も多いでしょう。自分が本当に学びたいことを見つけるための方法を紹介します。
保育の中で迷ったこと・困ったことをメモする
日々の保育の中で、「この場面でどう声をかければよかったのか」「この子にはどう関わればいいのか」と迷ったことを、簡単にメモしておきましょう。
メモがたまってくると、自分がどんなことに悩みやすいのか、何を学びたいのかが自然と見えてきます。スマートフォンのメモや手帳など、すぐに書ける方法を選ぶと続けやすくなります。
「もっとこうしたい」を書き出す
困りごとだけでなく、「もっと子どもが夢中になれる遊びを取り入れたい」「保護者ともっと話せるようになりたい」など、前向きな「やってみたい」も書き出してみましょう。
「やってみたい」から生まれる学びは、取り組む意欲も高く、研修後の実践にもつながりやすくなります。子どもの姿を見て「この力をもっと伸ばしたい」と感じたことも、立派な学びたいことです。
同僚と話してみる
休憩時間などに同僚と話していると、「それ、私も困っていた」という共通の悩みが見つかることがあります。多くの職員が同じことで悩んでいるなら、園内研修のテーマにぴったりです。同僚の「やってみたい」に共感することで、自分の学びたいことがはっきりすることもあります。
園外研修や本で気になったことを持ち帰る
園外の研修や保育の本、雑誌などで「うちの園でもやってみたい」と感じたことも、学びたいことのヒントになります。
気になったことを園内研修で共有すれば、自分の学びがほかの職員の学びにもつながり、園全体の保育を豊かにしていきます。外部で学んだ内容を短く報告する時間を研修の中に設けている園もあります。
学びたいことを研修担当者に伝えるコツ
学びたいことが見つかったら、研修のアンケートや会議などで伝えてみましょう。伝え方を少し工夫するだけで、研修のテーマとして取り上げてもらいやすくなります。
アンケートには具体的な場面を書く
アンケートに「保護者対応」とだけ書くよりも、「お迎えのときに、子どものけがを保護者にどう伝えればいいか学びたい」のように、具体的な場面を書くと、研修担当者もテーマを決めやすくなります。「どんな形式で学びたいか(講義・実技・話し合い)」も添えると、さらに伝わりやすくなります。
提案するときは「なぜ学びたいか」も伝える
研修のテーマを提案するときは、「最近、クラスでこういう場面が多いので」「職員の中でも悩んでいる人が多いので」など、学びたい理由も一緒に伝えましょう。
理由がわかると、ほかの職員にとっても必要な学びであることが伝わり、園全体のテーマとして取り上げてもらいやすくなります。自分が得意なことがあれば、「教える側」として研修に関わることを提案してみるのもよいでしょう。
研修後の感想や実践の様子も伝える
研修が終わったら、「この部分が役に立った」「実際に試したら子どもの様子がこう変わった」と、感想や実践の様子を研修担当者に伝えましょう。
感想が届くと、研修担当者も次の研修を企画しやすくなり、より自分たちに合った研修につながっていきます。「次はこんなことを学びたい」と添えると、学びが次へとつながります。
【研修担当者向け】保育士の「学びたい」を研修に生かすには
最後に、園内研修を企画する担当者の方に向けて、保育士の「学びたい」を研修に生かすためのポイントを紹介します。
アンケートや聞き取りで声を集める
文部科学省が公開している園内研修のアイデア集では、「個々に必要性がないと学びにならない」という気づきから、保育者の「学びたい」「やってみたい」に焦点を当てることで研修へのモチベーションにつなげた園の事例が紹介されています。
研修のテーマを決める前に、無記名のアンケートや、少人数での聞き取りで、職員一人ひとりの「学びたい」を集めましょう。職員が自分ごととして参加できるテーマになり、研修の充実度が高まります。集まった声は分野ごとに整理し、年間の研修計画にバランスよく配置すると、さまざまな職員の関心に応えられます。
関心の近い職員で少人数のグループをつくる
同じアイデア集では、関心のある職員が集まって学ぶ「部活動形式」の研修も紹介されています。少人数のグループで学び、その成果をほかの職員に共有する方法なら、一人ひとりの関心に合った学びと、園全体での共有を両立しやすくなります。成果は短い発表の場で伝えましょう。
参加しやすい時間と形式を工夫する
シフト勤務の多い保育園では、全員が同じ時間に集まるのは簡単ではありません。午睡の時間を使った短時間の研修や、動画や資料で事前に学べる工夫など、参加しやすい形を考えましょう。
研修の時間が長くなりすぎないよう、テーマをしぼって回数を分けるのも効果的です。付箋に意見を書いて貼り出す方法なら、参加できなかった職員も意見を出せます。
研修後の実践と振り返りまでを一つの流れに
研修で学んだことは、保育の中で実際に試し、一定期間後に振り返ることで、初めて身についていきます。「次の研修までに一つ試してみる」など、具体的な行動目標を決めておきましょう。
うまくいかなかったことも、次の工夫につながる大切な学びとして共有できる雰囲気をつくることが大切です。実践の様子を写真で残して共有すると、ほかのクラスの職員にも伝わりやすくなります。
教材や備品の整理も業務を支える
研修の準備や日々の保育をスムーズにするためには、教材や備品が整理され、誰でもすぐに取り出せる状態になっていることも大切です。職員みんなで備品の置き場所を見直すことも、立派な園内研修のテーマになります。探し物の時間が減れば、そのぶん子どもと向き合う時間が増えます。
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まとめ
保育士が園内研修で学びたいことには、明日の保育ですぐに使えること、日々の困りごとに直結すること、仲間と話し合って深めたいことという傾向があります。子どもとの関わり方や気になる子への支援、保護者対応、安全管理、遊びの実践、環境構成など、学びたいテーマはさまざまです。
自分が学びたいことを見つけるには、保育の中で迷ったことや「もっとこうしたい」をメモし、同僚と話してみましょう。研修担当者に伝えるときは、具体的な場面と学びたい理由をセットにすると、テーマとして取り上げてもらいやすくなります。
研修担当者は、アンケートなどで職員の「学びたい」を集め、関心に合った形で研修を企画し、実践と振り返りまでを一つの流れにしましょう。一人ひとりの「学びたい」から始まる園内研修が、子どもたちの毎日をより豊かにしていきます。
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