料理、洗濯、掃除——毎日あたり前のようにこなしている家事ですが、「家事とは何か」と改めて聞かれると、はっきり答えるのは意外と難しいものです。「家事ってどこまでが家事なの?」「夫婦で分担したいけれど、何をどう分ければいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
家事には、目に見える作業だけでなく、日用品の補充や献立を考えることなど、名前のつかない細かな「名もなき家事」もたくさん含まれています。家事の全体像を知ることは、家族で負担を分け合い、毎日をラクにする第一歩になります。
この記事では、家事の意味や範囲、種類一覧、名もなき家事、データで見る家事の価値、そして家事の負担を減らすための分担と仕組みづくりまで、順番にお伝えします。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 家事とはどんな仕事? | 家庭の暮らしを維持するための仕事の総称 | 炊事・洗濯・掃除などの日常的な作業に加え、広い意味では育児や介護、買い物、家計管理など、家庭生活を支えるさまざまな仕事が含まれます。 |
| 家事にはどんな種類がある? | 衣食住・家族の世話・お金や手続きの管理など | 食・衣・住に関する家事のほか、育児や介護、家計や書類の管理、名前のつかない細かな「名もなき家事」まで、家事の種類は多岐にわたります。 |
| 家事の負担を減らすには? | 見える化して分担し、仕組みで家事を減らす | 家事を書き出して家族で分担し、時短の工夫や外部サービスを取り入れます。片づけで家事の量そのものを減らす仕組みづくりも欠かせません。 |
この記事でわかること
- 家事の意味と、狭い意味・広い意味での家事の範囲
- 衣食住から家計管理まで、家事の種類一覧
- 見落とされがちな「名もなき家事」の具体例
- データで見る家事の価値と、負担のかたより
- 家事の負担を減らすための分担と仕組みづくり
家事とは?意味と範囲
まずは、家事という言葉がどのような意味を持っているのか、どこまでを家事と考えるのかを確認しておきましょう。家事の範囲を知ることで、自分や家族がどれだけの仕事を担っているのかが見えてきます。
家事の意味:家庭の暮らしを維持するための仕事
家事とは、炊事や洗濯、掃除など、家庭で日々の暮らしを営むために必要な仕事の総称です。家族が健康で快適に暮らすために欠かせないものであり、家庭生活の土台を支える大切な仕事といえます。
会社にたとえると、家事は総務や経理のような役割を担っています。表に出ることは少なくても、誰かが担わなければ家庭の暮らしは回りません。それでいて、仕事のようにお給料が発生しないため、その大変さや価値が見過ごされやすいという特徴があります。
狭い意味の家事と広い意味の家事
家事には、狭い意味と広い意味があります。狭い意味では、炊事・洗濯・掃除といった、家の中で行う日常的な作業を指します。一般的に「家事」と聞いてイメージするのは、こちらのほうでしょう。
一方、広い意味では、育児や介護・看護、買い物、家計の管理、書類の手続き、ご近所や親戚とのお付き合いなど、家庭生活を円滑に営むための仕事全般が含まれます。暮らし方が多様になった今、家事の範囲は昔よりもずっと広がっているのです。
家事は「主婦の仕事」から「家族みんなの仕事」へ
かつての日本では、家事は主に主婦が担うものと考えられてきました。しかし、共働き世帯が増え、働き方や家族のかたちが多様になった今、家事は性別や立場に関係なく、家族みんなで担う仕事へと考え方が変わりつつあります。
家事を家族で分け合うことは、担い手の負担を減らすだけでなく、子どもにとっては生活力を身につける機会にもなります。家族一人ひとりが「自分も家の一員として家事を担っている」と感じられることが、心地よい家庭づくりにつながっていきます。
「家事事件」の家事とは意味が異なる
なお、「家事」という言葉は、法律の分野では離婚や相続、養子縁組など、家庭裁判所で扱う家庭内の問題を指す「家事事件」として使われることもあります。この記事では、日々の暮らしに関わる仕事としての家事について紹介していきます。
家事の種類一覧
家事と一口にいっても、その内容は実にさまざまです。ここでは、家事を「食」「衣」「住」「家族の世話」「管理」の5つに分けて、代表的なものを一覧で紹介します。自分の家で誰がどの家事を担っているか、思い浮かべながら読んでみてください。
食に関する家事
食に関する家事は、毎日欠かさず発生するうえに、作業の工程が多いのが特徴です。
- 献立を考える、食材や調味料の在庫を確認する
- 食材の買い出し、ネットスーパーの注文
- 下ごしらえ、調理、盛り付け、配膳
- 食器洗い、食器の片づけ、シンクや調理台の掃除
- お弁当づくり、作り置き、冷蔵庫の中の整理
衣に関する家事
衣類に関する家事は、洗って終わりではなく、たたんでしまうまでがひと続きの作業です。
- 洗濯物の仕分け、洗濯機を回す、干す、取り込む
- 洗濯物をたたむ、アイロンをかける、家族それぞれの場所にしまう
- 衣替え、サイズアウトした服の見直し
- クリーニングに出す・受け取る、ボタン付けなどの補修
住に関する家事
住まいに関する家事には、掃除だけでなく、家全体を快適に保つための管理も含まれます。
- 掃除機がけ、床拭き、水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面所)の掃除
- ゴミの分別、ゴミ出し、ゴミ袋のセット
- 片づけ、整理整頓、収納の見直し
- 換気扇やエアコンのフィルター掃除、家電や住まいのメンテナンス
家族の世話・育児・介護
家族の世話も、広い意味での家事に含まれます。特に子どもが小さいうちは、育児にかかる時間と手間が大きくなります。
- 子どもの食事・着替え・お風呂・寝かしつけ
- 保育園や学校の準備、送迎、連絡帳や提出物の確認
- 家族の体調管理、通院の付き添い
- 高齢の家族の介護や見守り
お金・手続き・情報の管理
目に見えにくいものの、家庭を運営するうえで欠かせないのが、お金や手続き、情報の管理です。
- 家計簿をつける、公共料金や保険料の支払い管理
- 役所や学校の書類の記入・提出、各種契約の手続き
- 家族の予定の把握、行事や冠婚葬祭の準備
- ご近所付き合い、親戚とのやりとり
こうして書き出してみると、家事は料理・洗濯・掃除だけではなく、暮らしのあらゆる場面に広がっていることがわかります。
見落とされがちな「名もなき家事」
家事の負担を考えるうえで欠かせないのが、「名もなき家事」の存在です。名もなき家事こそが、家事の大変さが伝わりにくい大きな理由になっています。
名もなき家事とは
名もなき家事とは、「料理」「洗濯」のようなはっきりした名前がなく、家事として認識されにくい細かな作業のことです。一つひとつは数分で終わる小さな作業でも、毎日積み重なると大きな負担になります。
また、作業そのものだけでなく、「そろそろトイレットペーパーがなくなりそう」「明日は燃えるゴミの日だ」と気にかけておくことも、名もなき家事の一つです。こうした「頭の中の家事」は、周りからはまったく見えません。
名もなき家事の具体例
名もなき家事には、たとえば次のようなものがあります。
- トイレットペーパーや洗剤など、日用品の在庫確認と補充
- ゴミ箱に新しいゴミ袋をセットする
- 脱ぎっぱなしの服や靴下を拾う、裏返しの服を表に戻す
- テーブルの上に置きっぱなしの郵便物や書類を整理する
- 子どもの学校のプリントを確認し、持ち物を準備する
- 玄関の靴をそろえる、出しっぱなしのモノを元の場所に戻す
「ゴミ出しは夫の担当」という家庭でも、ゴミをまとめる、分別する、ゴミ袋をセットするといった前後の作業は、別の誰かが担っていることも少なくありません。
名もなき家事が負担になりやすい理由
名もなき家事は、家族から気づかれにくく、「やってもらって当たり前」になりがちです。感謝されることも少ないため、担っている人は「自分ばかりが頑張っている」と感じやすくなります。
さらに、常にあれこれと気にかけている状態が続くと、特別なことをしていなくても疲れがたまっていきます。こうした見えない負担については、「育児で何もしてないのに疲れるのはなぜ?見えない負担の正体と対処法5つ」でも紹介しています。
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名もなき家事を家族に伝えるコツ
名もなき家事の負担を家族にわかってもらうには、「大変なんだから手伝って」と感情で伝えるより、具体的な作業として見せるほうが効果的です。たとえば、1日にした家事をメモに書き出して家族に見てもらうと、想像以上の量に驚かれることもあります。
そのうえで、「ゴミ袋のセットまでお願いしたい」「洗濯物は自分の引き出しにしまってほしい」など、してほしいことを一つずつ具体的に伝えましょう。やってもらえたときは「ありがとう」と伝えることで、家族も家事に関わりやすくなります。
データで見る家事の価値と負担のかたより
家事はお給料が発生しない「無償労働」ですが、その価値は決して小さくありません。ここでは公的なデータをもとに、家事の価値と、誰が家事を担っているのかを見ていきましょう。
家事をお金に換算するといくらになる?
内閣府経済社会総合研究所「無償労働等の貨幣評価」に関する検討作業 報告書(令和5年7月)では、家事に使った時間をお金に換算する推計が行われています。それによると、2021年の家事活動の貨幣評価額(機会費用法)は143.6兆円にのぼります。
1人あたりの家事活動の貨幣評価額は、女性が194万3千円、男性が60万4千円と推計されています。家事は目に見える収入にはなりませんが、それだけ大きな価値を生み出している仕事なのです。
また、1人あたりの年間の家事活動時間は、女性が1,289時間、男性が325時間と推計されています。1日あたりに直すと、女性は約3時間半を家事に使っている計算になり、毎日の暮らしがこうした積み重ねで支えられていることがわかります。
家事の負担はいまも女性にかたよっている
同じ報告書では、女性の家事活動の貨幣評価額が男性の3倍以上となっており、家事の多くを女性が担っている状況が続いていることがわかります。男性の家事時間は少しずつ増えているものの、その差はまだ大きいのが現状です。
共働き家庭が増えた今、家事を「誰か一人の仕事」にしてしまうと、その人に大きな負担がかかります。家事は家族みんなの暮らしを支える仕事だからこそ、家族で分け合うことが大切です。
家事の負担を減らす方法
家事の全体像がわかったら、次は負担を減らす方法を考えていきましょう。「分ける」「減らす」「頼る」の3つの視点で見直すと、取り組みやすくなります。
家事を見える化して家族で分担する
家事の負担を減らす第一歩は、家の中にある家事を書き出して見える化することです。名もなき家事も含めて一覧にしてみると、誰がどれだけの家事を担っているかがはっきりし、家族とも話し合いやすくなります。
そのうえで、得意なことや生活リズムに合わせて分担を決めましょう。「料理は妻、食器洗いとゴミ出しは夫、洗濯物をしまうのは子ども」など、具体的に決めておくのがポイントです。家事分担表の具体的な作り方は、「家事分担表の作り方とコツ|名もなき家事まで見える化するテンプレート例つき」で紹介しています。
アプリやツールで家事を共有する
分担を決めても、口頭でのやりとりだけでは「言った・言わない」のすれ違いが起こりがちです。家事分担アプリや共有カレンダーを使うと、やるべき家事や担当者を家族全員がいつでも確認できます。
終わった家事にチェックを入れられる機能があれば、お互いの頑張りも目に見えるようになります。自分の家庭に合ったアプリの選び方は、「家事分担アプリの選び方とおすすめタイプ|共働き夫婦の悩みを解決」を参考にしてください。
家事の手間を減らす・時短する
家事そのものの手間を減らすことも大切です。食洗機や乾燥機付き洗濯機、ロボット掃除機などの時短家電は、毎日の家事時間を大きく減らしてくれます。
また、洗濯物は干すときにハンガーのまましまえるようにする、週末に作り置きをしておくなど、段取りを見直すだけでも負担は軽くなります。料理・洗濯・掃除それぞれの時短の工夫は、「家事の時短アイデア集|料理・洗濯・掃除がラクになるコツをプロが解説」で紹介しています。
「やらない家事」を決めて家事の量を減らす
仕事と家事を両立していると、すべての家事を毎日こなすのは難しいものです。そんなときは、「アイロンがけが必要な服は買わない」「タオルはたたまずにかごへ入れる」など、思い切って「やらない家事」を決めるのも一つの方法です。
やらなくても困らない家事は、意外とたくさんあります。家族で話し合って手放す家事を決めると、その分の時間を休息や家族との時間に使えるようになります。仕事と家事の両立に悩んだときのヒントは、「仕事と家事の両立に疲れた…負担を減らす3つのコツと暮らし別の両立術」も参考にしてください。
子どもも年齢に合わせて家事に参加する
家事を担うのは大人だけではありません。2〜3歳ごろからでも、おもちゃを片づける、脱いだ服を洗濯かごに入れるといった「自分のことは自分でする」家事は始められます。
小学生になれば、食器を下げる、洗濯物をたたんでしまう、お風呂を洗うなど、任せられることも増えていきます。最初はうまくできなくても、やり直さずに見守ることが、子どもが家事を続けるコツです。子どもに片づけの習慣を身につけてもらう方法は、「子どもの片づけ習慣の身につけ方|親もイライラしない整理方法と声かけ」で紹介しています。
家事代行などの外部サービスを頼る
どうしても手が回らないときは、家事代行サービスやネットスーパー、宅配サービスなどを利用するのも一つの方法です。外部の力を借りることで生まれた時間を、家族との時間や自分の休息に充てられます。
「家事は自分でやるべき」と思い込まず、暮らしの状況に合わせて上手に頼ることも大切です。家事代行の具体的な使い方は、「家事代行サービスの使い方|依頼の流れ・頼める内容・上手な活用のコツ」で紹介しています。
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家事をラクにするカギは「片づけ」と「仕組みづくり」
分担や時短の工夫を続けていくうえで、土台となるのが家の中の「片づけ」です。モノが整っている家では、家事の量そのものが減り、家族も家事に参加しやすくなります。
モノが多いと家事が増える
モノが多い家では、掃除のたびにモノを動かしたり、探し物をしたり、出しっぱなしのモノを片づけたりと、本来の家事の前後に「余計な家事」が生まれます。名もなき家事の多くも、実はモノの多さや定位置が決まっていないことから発生しています。
使っていないモノを手放し、持ち物を家族が管理できる量に整えると、家事にかかる時間は自然と短くなります。片づけと家事、整理・収納の違いについては、「片づけの意味とは?整理・収納・掃除との違いと片づけが人生を変える理由」でも紹介しています。
定位置を決めて家族みんなが動ける家にする
「ハサミどこ?」「体操服はどこにある?」と家族に聞かれるたびに手を止めていると、家事はなかなか進みません。家族全員がモノの「住所」を知っていて、使ったら自分で戻せる状態をつくると、家事が特定の誰かに集中しにくくなります。
収納にラベルを貼る、子どもの手が届く高さに子どものモノを置くなど、家族が迷わず動ける工夫を取り入れましょう。自分のことを自分でできる家族が増えるほど、家事は「みんなで回すもの」に変わっていきます。
「完璧」を目指さず家族のルールを決める
「毎日すべての部屋に掃除機をかける」「洗濯物はきれいにたたむ」など、家事の基準が高すぎると、担う人の負担はどんどん大きくなります。家族が無理なく続けられる「わが家の基準」を話し合って決めることも大切です。
たとえば、平日は最低限の家事だけにして、週末に家族みんなでまとめて掃除をするなど、家庭に合ったルールをつくってみましょう。毎日の家事がつらいと感じるときの向き合い方は、「毎日の家事が苦痛なのは甘えじゃない|しんどい5つの原因と負担を減らす対処法」も参考にしてください。
家事のやり方の違いを認め合う
家族に家事を任せると、「たたみ方が違う」「洗い方が雑」と気になってしまうこともあるでしょう。しかし、やり直したり細かく指摘したりすると、家族は「どうせ文句を言われる」と感じて家事から離れてしまいます。
家事の目的が達成されていれば、多少やり方が違っても認め合うことが、家族みんなで家事を続けるためのコツです。どうしても譲れないポイントだけを共有し、それ以外はおおらかに受け止めるようにしましょう。
家族で「ありがとう」を伝え合う
家事を分担しても、「やって当たり前」という空気があると、担う人のやる気は続きません。家族の誰かが家事をしてくれたときは、小さなことでも「ありがとう」と言葉にして伝え合うことを大切にしましょう。
感謝の言葉が飛び交う家では、家事が「やらされるもの」ではなく「家族のためにするもの」へと変わっていきます。子どもも、そんな家族の姿を見て、自然と家事に関わるようになっていくでしょう。
まとめ
家事とは、炊事・洗濯・掃除をはじめ、育児や介護、買い物、家計や手続きの管理など、家庭の暮らしを維持するための仕事の総称です。目に見える家事だけでなく、名前のつかない「名もなき家事」も含めると、その範囲はとても広いものです。
家事はお給料が発生しない仕事ですが、内閣府の推計でも大きな価値を持つことが示されています。一方で、その負担はいまも女性にかたよりがちです。家事を見える化して家族で分担し、時短の工夫や外部サービスも取り入れながら、負担を分け合っていきましょう。
そして、家事をラクにするいちばんの土台は、モノを整え、家族みんなが自分で動ける仕組みをつくることです。家事を「誰か一人の仕事」から「家族みんなの仕事」へと変えて、笑顔で過ごせる毎日を目指していきましょう。
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