「何度言っても同じことを繰り返す」「つい感情的に怒鳴ってしまい、子どもの寝顔を見て反省する」——子育てをしていると、叱り方に悩む場面は毎日のようにあるものです。
子どもを叱るのは、親を困らせないようにするためではなく、子ども自身が「何がよくて、何がいけないのか」を理解し、自分で考えて行動できるようになるためです。叱り方のポイントを知っておくと、親の言葉が子どもに届きやすくなり、親自身のイライラも減っていきます。
この記事では、「叱る」と「怒る」の違い、叱るべき場面、子どもに伝わる上手な叱り方、年齢別のコツ、やってはいけない叱り方、感情的にならないための工夫、そして叱らなくて済む環境づくりまで、順番にお伝えします。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 上手な叱り方のポイントは? | 目線を合わせ、短く理由を添えて行動を叱る | 子どもの目を見て短い言葉で伝え、なぜいけないのか理由を添えます。人格ではなく行動を叱り、どうすればよいかを一緒に考えるのがポイントです。 |
| やってはいけない叱り方は? | 叩く、人格を否定する、比べる、脅すなど | 体罰は法律で禁止されています。「だからダメなの」と人格を否定したり、きょうだいと比べたり、脅したりする叱り方は、子どもの心を傷つけてしまいます。 |
| 感情的に怒ってしまうときは? | 一呼吸置き、その場を離れて落ち着く | 怒りがわいたら深呼吸をして間をとり、危険がなければその場を少し離れましょう。疲れがたまっていないか、親自身の状態を見直すことも大切です。 |
この記事でわかること
- 「叱る」と「怒る」の違いと、叱る目的
- 叱るべき場面と、叱らなくていい場面
- 子どもに伝わる上手な叱り方と、年齢別のコツ
- やってはいけないNGな叱り方
- 感情的にならない工夫と、叱らなくて済む環境づくり
「叱る」と「怒る」の違い
子どもへの叱り方を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「叱る」と「怒る」の違いです。この違いを意識するだけでも、子どもへの伝え方は大きく変わります。
叱るのは、子どもの成長のため
「叱る」とは、子どもがよりよい行動をとれるように、何がいけなかったのか、どうすればよいのかを伝えることです。目的はあくまで子どもの成長にあり、親は冷静な気持ちで、子どもにわかる言葉で伝えます。
叱られた子どもが「どうしてダメなのか」を理解できれば、次に同じ場面に出会ったとき、自分で考えて行動できるようになっていきます。
怒るのは、親の感情をぶつけること
一方で「怒る」とは、イライラや怒りなど、親自身の感情を子どもにぶつけることです。怒鳴ったり、強い口調で責めたりすると、子どもは怖さから一時的に言うことを聞くかもしれませんが、なぜいけないのかは伝わりにくくなります。
もちろん、親も人間なので、怒ってしまうことはあります。大切なのは、「今、自分は叱っているのか、怒っているのか」に気づき、少しずつ叱る方向へ近づけていくことです。
叱るべき場面と叱らなくていい場面
毎日のように叱っていると、叱る言葉が子どもに届きにくくなってしまいます。本当に叱るべき場面を見極めて、メリハリをつけることが大切です。
叱るべき場面
次のような場面では、しっかりと叱る必要があります。
- 命や安全にかかわる危険なことをしたとき(道路に飛び出す、高い所に登るなど)
- 人や生き物を傷つけたとき(叩く、かみつく、ひどい言葉を言うなど)
- 社会のルールやマナーを守らなかったとき(公共の場で騒ぐ、物を盗るなど)
- 何度注意しても、同じ約束を守らないとき
特に、命や安全にかかわることは、真剣な表情ではっきりと伝えましょう。いつもと違う親の様子から、子どもは「これは本当にいけないことなんだ」と感じ取ります。
叱らなくていい場面
一方で、次のような場面は、叱る必要がない、あるいは叱らずに見守ってもよい場面です。
- まだ発達的にできないことを、できなかったとき
- わざとではなく、うっかり失敗したとき(飲み物をこぼすなど)
- 一生懸命取り組んだけれど、うまくいかなかったとき
「できないこと」や「失敗」を叱られると、子どもは挑戦すること自体を怖がるようになってしまいます。こうした場面では、「次はこうしてみようか」と一緒に考えたり、手伝ったりすることを意識しましょう。
叱るより「認める」場面を増やす
毎日の中で叱る回数が多いと感じたら、子どもができていることや頑張っていることに目を向けて、言葉にして伝える回数を増やしてみましょう。「靴をそろえられたね」「最後まで食べられたね」など、当たり前に思えることでも認めてもらえると、子どもは自信を持てます。
普段から認められている子どもは、叱られたときも「自分が否定されたのではなく、この行動がいけなかったんだ」と受け止めやすくなります。
子どもに伝わる上手な叱り方
ここでは、子どもに伝わりやすい叱り方の基本を紹介します。すべてを完璧にできなくても大丈夫です。意識できそうなことから取り入れてみてください。
目線を合わせて、短い言葉で伝える
子どもを叱るときは、しゃがんで目線を合わせ、子どもの目を見ながら、短くわかりやすい言葉で伝えましょう。離れた場所から大声で叱っても、自分に向けられた言葉だと受け止めにくくなります。
話が長くなると、子どもは何を叱られているのかわからなくなってしまいます。「道路に飛び出すと車にぶつかって危ないよ」のように、要点をしぼって伝えることがポイントです。
その場ですぐに叱る
小さな子どもほど、時間がたつと自分が何をしたのかを忘れてしまいます。叱るべきことがあったら、できるだけその場ですぐに伝えましょう。
「あとで話そう」と時間をおいてから叱っても、子どもは何について叱られているのか結びつけられず、ただ怒られた記憶だけが残ってしまうことがあります。
人格ではなく「行動」を叱る
「あなたはダメな子」「だらしない」といった言葉は、子どもの人格そのものを否定してしまいます。叱るときは、「おもちゃを投げるのはダメ」のように、具体的な行動に焦点を当てましょう。
行動を叱られた子どもは「その行動を変えればいい」と理解できますが、人格を否定された子どもは、自分に自信をなくしてしまいます。
なぜいけないのか、理由を伝える
「ダメなものはダメ」だけでは、子どもはなぜいけないのかがわかりません。「叩くとお友だちが痛くて悲しい気持ちになるよ」のように、理由を添えて伝えましょう。
理由がわかると、子どもは叱られたこと以外の場面でも、自分で考えて行動できるようになっていきます。
まずは子どもの気持ちを受け止める
子どもがいけない行動をとったときには、多くの場合、何かしらの理由や気持ちがあります。「おもちゃを取られて悔しかったんだね」と、まずは子どもの気持ちを受け止めてから、行動について伝えると、子どもは素直に話を聞きやすくなります。
気持ちを受け止めることと、行動を許すことは別のことです。「悔しかったのはわかるよ。でも叩くのはダメだよ」と、両方を伝えましょう。
「どうすればよかったか」を一緒に考える
叱って終わりにするのではなく、「次はどうしたらいいと思う?」と、正しい行動を一緒に考えることが大切です。小さな子どもには、「貸してって言おうね」など、具体的な行動を教えてあげましょう。
できたときはしっかり褒める
叱ったあとに、子どもが正しい行動をとれたときは、「ちゃんと貸してって言えたね」と、すぐに褒めてあげましょう。
叱ることと褒めることはセットです。よい行動を認めてもらえる経験が、子どもの「次も頑張ろう」という気持ちを育てます。
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【年齢別】子どもの叱り方のコツ
子どもの理解力や心の発達は、年齢によって大きく異なります。年齢に合わせて叱り方を変えることで、親の言葉が子どもに届きやすくなります。ただし、発達には個人差があるため、目安として参考にしてください。
1〜3歳:短い言葉で、すぐに、はっきりと
この時期の子どもは、まだ言葉の理解が十分ではありません。目線を合わせて、「危ないよ」「痛いよ」など、短い言葉ではっきりと伝えましょう。長い説明は理解できないため、伝えたいことを一つにしぼることが大切です。
自我が芽生えて「イヤイヤ」が増える時期でもあります。危険なこと以外は、気持ちを切り替えられるよう、ほかのことに興味を向けるなどの工夫も取り入れてみましょう。
3〜6歳:気持ちを聞いて、理由を伝える
3歳を過ぎると、言葉で気持ちを表現できるようになり、ルールも少しずつ理解できるようになります。「どうしてそうしたの?」と子どもの気持ちを聞いてから、なぜいけないのかを説明しましょう。
「〇〇されたら、お友だちはどう思うかな?」と、相手の気持ちを考えさせる問いかけも効果的です。生活の中のルールを少しずつ身につけていく時期なので、片づけなどの習慣も一緒に練習していきましょう。片づけを何歳から始めるかについては、「片づけは何歳から?子どもと一緒に部屋を整理する方法・習慣」で紹介しています。
小学校低学年:ルールの意味を一緒に考える
小学校に入ると、学校のルールや友だちとの約束など、守るべきことが増えていきます。「なぜこのルールがあるのか」を一緒に考え、子どもが納得できるように伝えましょう。
叱るときは、ほかの人がいない場所で、落ち着いて話すことも大切です。人前で叱られると、恥ずかしさから素直に話を聞けなくなることがあります。
小学校高学年以降:子どもの考えを尊重する
高学年になると、自分なりの考えを持ち、親の言うことにすぐには従わなくなることもあります。頭ごなしに叱るのではなく、「あなたはどう思う?」と子どもの考えを聞き、意見を尊重しながら話し合いましょう。
親の考えを押しつけるのではなく、一緒に解決策を考える姿勢が、子どもの自立を後押しします。
やってはいけないNGな叱り方
どんなに子どものためを思っていても、叱り方によっては子どもの心を傷つけてしまうことがあります。避けたい叱り方を確認しておきましょう。
叩く・体罰を与える
厚生労働省「『体罰等によらない子育てのために』がとりまとまりました」のとおり、児童福祉法等の改正により、親権者等は子どものしつけに際して体罰を加えてはならないことが法律で定められ、令和2年4月から施行されています。
「しつけのため」であっても、叩く、つねる、長時間正座させるといった行為は体罰にあたります。体罰は子どもに恐怖心を与えるだけで、なぜいけないのかは伝わりません。どうしても手が出そうになるほど追い詰められているときは、一人で抱え込まず、自治体の子育て相談窓口などに相談しましょう。
人格を否定する・ほかの子と比べる
「あなたはいつもダメね」「お兄ちゃんはできたのに」といった言葉は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけてしまいます。比べられた子どもは、「自分は愛されていない」と感じてしまうこともあります。
子どもの意欲を遠ざけてしまう声かけと、前向きな伝え方については、「親が言ってはいけない言葉とは?片づけ習慣を遠ざけるNG声かけと正しい伝え方」で詳しく紹介しています。
脅したり、突き放したりする
「言うことを聞かないなら置いていくよ」「もう知らない」といった言葉は、子どもに強い不安を与えます。一時的に言うことを聞かせることはできても、子どもは「見捨てられるかもしれない」という恐怖から従っているだけになってしまいます。
長々と叱る・過去のことを持ち出す
叱っているうちに話が長くなり、「この前もそうだった」と過去のことまで持ち出してしまうと、子どもは何について叱られているのかがわからなくなります。
叱るのは、今起きたことについて、短くまとめて伝えるのが基本です。
その日の気分で叱る基準が変わる
同じことをしても、親の機嫌がよい日は叱られず、疲れている日は強く叱られる——そんなことが続くと、子どもは「何がいけないのか」ではなく「親の機嫌」を気にして行動するようになります。
叱る基準をできるだけ一定に保つことが、子どもにとってのわかりやすさにつながります。疲れている日に強く叱ってしまったと感じたら、あとで「さっきは疲れていて言いすぎたね」と伝えるだけでも、子どもの受け止め方は変わります。
感情的に怒らないための工夫
「冷静に叱ろう」と思っていても、つい感情的になってしまうことはあるものです。怒りをコントロールするための工夫を知っておくと、少しずつ気持ちを切り替えやすくなります。
一呼吸置いて、その場を離れる
カッとなったときは、すぐに言葉を発するのではなく、深呼吸をしたり、心の中でゆっくり数を数えたりして、一呼吸置きましょう。
危険な状況でなければ、「少し落ち着いてから話すね」と伝えて、その場を離れるのも効果的です。時間をおくことで、冷静な言葉で伝えられるようになります。
怒りの背景にある「疲れ」に目を向ける
子どもにイライラしてしまう原因が、実は親自身の疲れや睡眠不足、忙しさにあることも少なくありません。余裕がないと、普段なら受け流せることにも強く反応してしまいます。
子どもにイライラしてしまうときの対処法は、「子どもといるとイライラする…原因と解消法・怒りすぎたときの対処法を解説」で紹介しています。子育てのストレスとの向き合い方は、「子育てのストレスがつらいあなたへ|原因と今日からできる解消法を解説」も参考にしてください。
親自身の時間をつくる
子育て中は、自分の時間がほとんどないという方も多いでしょう。短い時間でも好きなことをして、気持ちをリセットする時間をつくることが、子どもに穏やかに接するための土台になります。
一人の時間のつくり方は、「【子育てに疲れたママへ】一人になりたい理由と対処法・一人時間のつくり方」で紹介しています。
家事の負担を減らして余裕をつくる
家事に追われていると、子どもの行動に向き合う余裕がなくなってしまいます。時短家電や家事代行を取り入れる、家事の完成度を下げるなどして、毎日の負担を少しでも軽くしましょう。
家事を効率化するアイデアは、「家事を効率化する方法13選|共働き・ワンオペでも時間にゆとりが生まれるコツ」で紹介しています。
叱りすぎてしまったときのフォロー
どんなに気をつけていても、感情的に叱りすぎてしまうことはあります。大切なのは、そのあとのフォローです。
言いすぎたときは素直に謝る
強い言葉をぶつけてしまったときは、気持ちが落ち着いてから、「さっきは大きな声を出してごめんね」と素直に謝りましょう。
親が自分の間違いを認めて謝る姿は、子どもにとって「失敗したら謝ればいい」という大切なお手本になります。ただし、叱った内容そのものが正しかった場合は、「でも、〇〇はいけないことだよ」と、伝えたいことも改めて伝えましょう。
気持ちを言葉と行動で伝える
叱ったあとは、「あなたのことが大切だから言ったんだよ」と、気持ちを言葉にして伝えましょう。抱きしめたり、手をつないだりするスキンシップも、小さな子どもには安心感を与えます。
叱られても愛されていると感じられる経験が、子どもの心を支えます。寝る前に「今日も大好きだよ」とひと言伝えるだけでも、子どもは安心して眠りにつけるでしょう。
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叱らなくて済む環境をつくる
叱り方を工夫することと同じくらい大切なのが、そもそも叱る場面を減らす環境づくりです。毎日同じことで叱っているなら、仕組みを見直すタイミングかもしれません。
家のルールを見える化する
「帰ってきたら手を洗う」「ゲームは〇時まで」など、家のルールを紙に書いて、子どもが見える場所に貼っておきましょう。小さな子どもには、イラストや写真を使うとわかりやすくなります。
ルールが目に見えていると、親が何度も口で注意しなくても、子ども自身が確認して行動できるようになります。ルールは親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に話し合って決めると、守ろうという気持ちが生まれやすくなります。
片づけやすい仕組みをつくる
「片づけなさい」と叱る場面が多い家庭では、子どもが自分で片づけやすい仕組みが整っているかを見直してみましょう。おもちゃや持ち物の定位置を、子どもの手が届く高さに決め、ラベルやイラストで戻す場所をわかりやすくしておくのがポイントです。
片づけやすい環境が整えば、叱る回数は自然と減っていきます。子どもの片づけ習慣の身につけ方は、「子どもの片づけ習慣の身につけ方|親もイライラしない整理方法と声かけ」で詳しく紹介しています。
夫婦で叱り方の方針をそろえる
パパとママで叱る基準や叱り方が違うと、子どもは混乱してしまいます。どんなことを叱るのか、どう伝えるのかを夫婦で話し合い、方針をそろえておくことが大切です。
一方が叱っているときは、もう一方は子どもの気持ちを受け止める役に回るなど、役割を分けるのもおすすめです。夫婦で話す時間が少なくなっている場合は、「夫婦に会話がない…一緒にいる意味とは?原因と関係を取り戻すヒントを解説」も参考にしてみてください。
まとめ
子どもを叱るのは、親の感情をぶつけるためではなく、子どもが何がいけないのかを理解し、自分で考えて行動できるようになるためです。命や安全にかかわること、人を傷つけることなど、叱るべき場面を見極めてメリハリをつけましょう。
叱るときは、目線を合わせて短い言葉で、その場ですぐに、理由を添えて行動を叱るのが基本です。子どもの気持ちを受け止め、どうすればよかったかを一緒に考え、できたときはしっかり褒めましょう。体罰は法律で禁止されており、人格の否定や比較、脅しも避けたい叱り方です。
感情的になってしまうときは、一呼吸置いてその場を離れ、親自身の疲れにも目を向けてください。そして、家のルールの見える化や片づけやすい仕組みづくり、夫婦での方針の共有など、叱らなくて済む環境を整えることで、親子ともに穏やかな毎日に近づいていきます。
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